意外と知らない︕消火器の正しい使い方と注意点

住宅や職場、商業施設など、さまざまな場所で見かける消火器。皆さんは正しい消火器の使い方を知っていますか。
今回は、防火管理者の目線で消火器の種類や使い方、注意点をご案内します。いざという時に正しく使えるよう、消火器の基礎知識を押さえておきましょう。また、消防訓練で訓練用消火器を使ってみましょう。

消火器とは?

消火器は、初期の火災時に安全・確実に消火を行うための器具で、酸素の供給を断って消火する窒息消火や、熱を取り去って消火する冷却消火の原理を応用しています。消火器には、業務用消火器と住宅用消火器の2種があり、外装の色は一般的には赤色です。なお、住宅用消火器は赤色以外の製品もあります。

消火器の使い方・保管時の注意点

初期消火のために消火器を使おうとしても、正しい使い方が分からなければ消火が間に合わなくなってしまいます。防火管理者が中心となって実施する消防訓練に参加して消火器の正しい使い方と、使用や保管にあたっての留意点をしっかり学んでおきましょう。

消火器の正しい使い方

まず、火元から7~8メートルほど離れた安全な場所に消火器を運びます。その際、誤って噴射しないよう、レバーの下側を持つようにしましょう。火元に近づく時は姿勢を低くし、自分の身を守るため風上側に立ちましょう。室内の場合は出入り口に背中を向けて、消火後の逃げ道を確保しましょう。

次に、消火器の上部にある黄色い安全ピンを引き抜き、ホースを外してから火元に向けます。消火器が消火可能な火元からの距離は、炎の高さの2~3倍が目安で、火元から離れすぎてしまうと消火できません。また噴射の勢いでホースの向きが変わらないよう、先端をしっかり持ちましょう。レバーを強く握ると、消火剤が放射されます。
消火剤の放射時間は、粉末消火器の場合で15秒程度、強化液タイプで30秒~1分強程度となっています。

消火器の使い方の画像

消火器保管の留意点

古くなった消火器や、腐食した消火器は破裂事故の危険があり、けがの他、最悪の場合死亡事故が起こることも想定されます。事故を防ぐため、平時から必ず点検しておきましょう。使用期限が過ぎていないか、安全ピンやキャップはしっかりついているかをチェックしておきましょう。その他、ホースに詰まりやひび割れはないか、容器に変形や錆びはないか、指示圧力計が緑色の範囲にあるかを定期的に確認しましょう。
 また設置場所は、誰でも見やすく取り出しやすい所を選びましょう。浴室や洗面所など湿気の多い所、直射日光のあたる場所は避けましょう。また、通行や避難に支障となる場所も避けましょう。
 消火器を廃棄する際は、一般ごみとして出すことはできません。廃棄時には、専門の業者へ依頼するようにしましょう。

消火器の構造と機能

消火器には、2つの加圧方式があります。加圧式消火器には、内部に高圧ガス(炭酸ガスまたは窒素)を充填した加圧用ガス容器が取り付けられています。レバーを握り、切り矢(カッター)で容器の封板を破るとガスが容器内に放出され、生じた圧力で消火剤を放射します。
 一方、蓄圧式消火器は、レバーを握るとバルブが開き、容器内に充填された圧縮ガス(窒素+ヘリウムガス)の圧力で消火剤を放射します。蓄圧式消火器には、容器内の圧力が適正か確認するための指示圧力計がついています。圧力計の指針が緑色の範囲内であれば、適正です。

消火器の種類

消火器の種類は加圧方式の他、消火薬剤や運搬方式によっても以下のように分類できます。

消火薬剤による分類

消火器は、充填する消火薬剤により分類されます。
粉末(ABC)消火器と粉末(BC)消火器は防湿加工された微細な粉末が入った粉末消火器です。それぞれ適応する火災の種類が異なります。強化液消火器は、アルカリ金属類の水溶液が入ったものです。また、泡消火器という製品もあり、こちらは機械泡消火器と化学泡消火器の2種類が製造されています。このうち機械泡消火器には、合成界面活性剤などを主成分とした消火薬剤が充填されており、泡状になって放射されます。一方、化学泡消火器は液化炭酸が充填された消火器で、レバーを握るとガスが放射されます。

運搬方式による分類

消火器は、運搬する手段でも分類できます。消火器のレバーを手で持って使用する、手提げ式が最も一般的です。この他に、質量35kgを超える大型消火器などに利用される車載式や、背負って使用する背負式、消火器は移動させずノズルやホースだけを火元に運んで使う据置式があります。

まとめ

 

消火器は、正しく使うことで初期消火の際に高い効果を発揮します。一方、使用期限が切れた消火器をそのままにしていると、使用時の事故に繋がるおそれもあり注意が必要です。定期的に消火器を点検することに加え、防火管理者が中心となって実施する消防訓練に積極的に参加し使い方を学び、万一の火災発生に備えておきましょう。

参照サイト

  • 2-2.消火器 消火器の使い方-防災危機管理eカレッジ (fdma.go.jp)
  • 2-8.消火器 消火器の日常点検-防災危機管理eカレッジ (fdma.go.jp)
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